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ピロリ菌―― 関連疾患、検査、除菌治療

ヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)は世界的に蔓延する胃内の寄生細菌であり、日本人の胃内にも高頻度に寄生しています。胃内の強酸環境で生存できる唯一の細菌と考えられており、自身のウレアーゼ活性によって、酸を中和することによって生存可能な環境を作り出すことができる特殊な細菌です。図1に示すような様々な機序によって、病原性を発揮すると考えられています。
 

1983年に発見されたピロリ菌は、胃・十二指腸潰瘍や萎縮性胃炎、胃MALTリンパ腫、胃癌など、様々な胃・十二指腸疾患の危険因子となることが分かっています(図2)。多くの検査方法が臨床の場で使われています(図2)が、感度・特異度において万全の検査はなく、可能であれば2種類以上の検査が推奨されています。
 

ピロリ菌の除菌療法は、図2に示すような「抗生剤2種類+酸分泌抑制剤1種類」の3剤併用を1週間、行ないます(朝・夕の1日2回、7日間)。抗生剤に対する耐性の獲得が最大の原因とされる「除菌成功率の低下」が問題になっていますが、1次・2次除菌と2段階の治療ステップが用意されており、95%程度の方が2次除菌までには除菌に成功します。また、近年では、胃酸分泌をより強固に抑制することによる除菌率向上が期待される薬剤が開発されています。
 

ピロリ菌の除菌治療は、これまで適応がなかった「ピロリ菌のよる慢性胃炎」が2013年2月に保険適応となったため、急速に除菌治療を受ける方が増えています。除菌による将来的な胃癌抑制効果の予測が十分ではない中で、医療コストも含めて様々な問題が指摘されていますが、今後、長期的な健康への良好な影響を期待して、除菌療法はますます広がってゆくと考えられています。現在は、ピロリ菌が陽性であることに加えて、図3に示すような画像検査による診断が必須とされています。除菌治療を希望をご検討の方は、気軽に外来にてご相談ください。
 

(文責:山道信毅)

【図1】 ピロリ菌の病原性
【図2】 ヘリコバクター・ピロリ菌の関与が確実な疾患、その検査・除菌の方法
【図3】 ピロリ菌感染胃炎の画像診断
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