NEWS(非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術)
【概要】
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD: Endoscopic submucosal dissection)の普及に伴い、早期胃癌は完治が望める時代になってきました。しかし、今なお潰瘍合併のある早期胃癌や遺残再発した早期胃癌は、ESDが技術的に難易度が高いとされています。また、GISTをはじめとする胃粘膜下腫瘍に対しては、ESDは困難です。
非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術(Non-exposed Endoscopic Wall-inversion Surgery: NEWS)は、究極の低侵襲治療を目指して、当院消化器内科、光学医療診療部、胃食道外科と共同で開発した理想的な胃局所切除法です。内視鏡と腹腔鏡を用いて管腔を開放させることなく胃壁を任意の範囲で全層切除できるため、腹腔内汚染や上皮性腫瘍の腹腔内播種の危険性を危惧することなく、確実に病変を一括切除することができます。また、できるだけ最小範囲で病変を切除し、切除部位を丹念に手縫いで縫い合わせることにより術後の胃変形を最小限に留め、今までの日常生活が可能となります。内視鏡を得意とする内科と腹腔鏡を得意とする外科の技術が融合された低侵襲手術として画期的な胃局所手術であり、今後、胃粘膜下腫瘍や胃癌に対して非常に期待のできる治療法であると考えています。
【治療実績】
2011年7月から世界で初めて当院にて臨床導入を開始しています。2017年8月までに36例の胃腫瘍に対して行っておりますが、すべて一括切除ができ、大きな偶発症は認めていません。
【皆さまへ】
胃粘膜下腫瘍やESDが技術的に難易度の高い早期胃癌の患者さまに対して、究極の低侵襲治療を提供できると考えております。
≪NEWS手技の流れ(上図参照)≫
消化器内科と消化管外科が協力し治療していきます。
(赤枠:消化器内科手技、黄枠:消化管外科手技)
a. 胃体上部前壁の20mm大の粘膜下腫瘍。
b. 病変周囲にマーキング。
c. 漿膜にマーキング。
d. 粘膜下層に局注し、腹腔鏡で漿膜筋層を切開。
e. 病変を内反させつつ、腹腔鏡で漿膜筋層縫合。
f. 漿膜筋層縫合後。
g. 胃内腔より粘膜切開し全層切除。
h. 切除後。
i. 切除部位をクリップ縫合し、病変を経口的に回収。
(文責:新美惠子、藤城光弘)